2016年3月30日水曜日

XeonとCore i7の違い

はじめに


 筆者はサーバエンジニアなのでXeonをよく扱っています。
 
 今回取り上げるのは、
 一般的なハイスペックPCで使用するCore i7
 ワークステーションやサーバで使用するXeon
 
 具体的に何が違うの?
 
 という観点で話をします。
 
 ※注意
  一般的なノートPC用のi7はデスクトップ用のi5と大して変わりません。
  今回はデスクトップPC用のi7ついての話題です。




Core i7 の特徴

 Core i7 はヘビーなゲーム用途で最もコストパフォマンスの高いCPUです。
 
 
 これは、大きく5つ要因があります。
 
 ①予算30万円未満のPCがメインターゲットであること。
 ②メモリの搭載量は、一般的なゲームなら32GB以内で十分であること。
 ③大半の重いゲームでも、CPU利用率が4コアを超えて専有するようなゲームが
  ないこと。
 ④ゲームで最も計算量が多いはグラフィック処理であり、高解像度・高FPSを
  目指すならGPU への追加投資が効果的であること。 
  標準的なゲームPC構成では、
  CPUとGPUの合計予算が5万円程度の場合(2:3)の比率
  CPUとGPUの合計予算が10万円程度の場合(3:7)の比率
  が一般的です。
  
  これに、ゲームタイトルの推奨環境(CPU/GPU)を参考に構成を考えましょう。

 ⑤Core i7でゲームの読み込みを高速化することや、普通のPC操作を快適に
  するには、CPUに掛ける予算の7割~9割程度の金額を目安に良いSSD
  を導入しましょう。
  ※2016年3月現在、Samsung sm951-NVMe が最もコストパフォーマンスの良い
   SSDです。




Xeon の特徴

Xeon は、高信頼性/大容量メモリ/大容量キャッシュ/高バス幅などが求められる
場合に初めて効果を発揮します。

1.高信頼性

 一般的にメモリが大容量になると、それだけデータの破損する確率が高まります。
 万一データが壊れた場合、Core i7 では一切修復することが出来ません。
 
 一方、 Xeon ではメモリエラーを検出し訂正することが出来る機能があり、
 ECC や registered と呼ばれる機能を備えたメモリと組み合わせることで
 信頼性を向上しています。


2.大容量メモリ

 Core i7 と Xeon の最大メモリ容量を比較します。
 最大メモリ容量はCPU1個あたりのものです。
 デュアルCPUでは、2倍
 クアッドCPUでは、4倍
 システムに搭載し、OSが認識することが出来ます。
 
 Core i7
 2014年リリースのCore i7 4790k は 32GB
 2014年リリースのCore i7 5960x は 64GB
 2015年リリースのCore i7 6700k は 64GB
 
 Xeon E3 (シングルCPU)
 2013年リリースのE3-1200 v3 は 32GB
 2015年リリースのE3-1200 v4 は 32GB
 
 Xeon E5 (デュアルCPU)
 2014年リリースのE5-2600 v2 は 384 GB
 2014年リリースのE5-2600 v3 は 768 GB
 
 Xeon E7 (クアッドCPU)
 2014年リリースのE7-8000 v2 は 1536 GB
 
 最新のi7では64GBまで搭載できますが、
 パーツの相性問題や信頼性問題の懸念が
 出てきます。
 
 メモリの使用量が32GBを超える場合は、
 Xeon E5 の購入を検討しましょう。



3.大容量キャッシュ

 Core iシリーズのCPUにはGPUが内蔵されています。
 Xeon には GPU がありません。
 
 GPU を使用しない分、CPUコア、またはCPUキャッシュを配置することで
 CPU性能を高めています。
 CPUキャッシュが大容量であるほど、メモリにアクセスする確率が低減し、
 結果的に処理速度が高まります。
 
 Core i7 と Xeon の最大キャッシュ容量を比較します。
 Core i7 は最大 8MB
 Core i7 Extremeは最大 20MB
 Xeon は最大 45MB

4.高バス幅

 Core i シリーズとXeonの処理速度に直結する最大の違いはバス幅の違いです。
 最新のCore i7 / Core i7 Extreme/ Xeon
 以下の3つのブロック図で比較してみましょう。
 
 
 Core i7対応チップセット z170
 http://images.anandtech.com/doci/9483/Z170%20Platform.jpg
 
 Core i7 Extreme対応チップセット x99
 http://www.intel.co.jp/content/dam/www/public/us/en/images/diagrams/x99-chipset-block-diagram.jpg
 
 XeonデュアルCPU対応チップセット C612
 http://www.intel.co.jp/content/dam/www/public/us/en/images/embedded/RWD/grantley-diagram-16x9.png
 
 メモリの同時アクセス速度は
 z170の場合、34GB/sec
 x99の場合、68GB/sec
 C612の場合、136GB/sec
 
 GPUやSATAより高速なSSDで使用するPCI-Expressスロットの帯域を比較すると
 z170を使用する場合、CPU直結で接続できるPCI-Express x16のデバイスは1個まで
 x99を使用する場合、CPU直結で接続できるPCI-Express x16のデバイスは2個まで
 C612を使用する場合、CPU直結で接続できるPCI-Express x16のデバイスは4個まで
 
 となっています。
  

Xeon が必要になるパターン


 1.長時間の高負荷でも信頼性が求められるマシンが必要。
 2.処理対象となるデータの絶対量が非常に多く、64GB以上のメモリが必要。
 3.処理対象となるデータの絶対量が非常に多く、ディスク I/O 要求が厳し過ぎて
   PCI-Express 接続 SSD が複数必要。
 4.GPU処理(特にVRAM使用量とメインメモリアクセス)が多く、GPUが3個以上必要。

 いずれかのパターンに1つ以上当てはまる場合は、Xeonが効果的です。